おはようございます。
少し前、墓石の彫刻について色々と書き連ねました。
好評でしたから、再度掲載させていただきます。
で、せっかくなので少しまとめてみました。
墓石の文字や絵柄の彫刻を検討されたりする方は、どうぞご参考下さい。
『墓石の彫刻について』
弊社にある展示物の中で、必ず皆さまが足を止める場所があります。
それは、【文字彫刻見本の石板】。
石に文字を彫った後、どのような見栄えになるかを確認できる設備です。
【矢田石材店】
という文字が、多種多様な石材に彫られています。
その仕上げ方法も様々に。
お墓に彫った文字は、正面文字で有れば
【顔】
にあたります。
その出来栄えは、実は完成するまで分かりません。
私どもは長い経験で何となくわかります。
でも、お施主さま達は皆さん初心者。
「想像してみて下さい」
と言っても、簡単に出来るものではありません。
なので、ご契約前に、出来るだけイメージして頂きやすいよう、色々と工夫を凝らしています。
中には、ご自身で
『文字をデザインしてみたい!』
という方も居ます。
という事で、石に刻む文字や絵柄の彫刻について、詳しくお伝えしようと思います。
お墓に刻まれた花たちは、
拝む度に参拝の華となる
先ほど、
・文字の彫刻は完成しないとイメージしづらい。
・性質上、見本をつくる事が難しい。
という事実を告げました。
そして、最近では
【自分自身で彫刻のデザインをしてみたい】
という方もいらっしゃるとお伝えしました。
彫刻のデザインを自分でするといっても、立体的な彫刻ではありません。
お花など【絵】のデザインです。
立体的なデザインもありますが、基本的には墓石へ刻まれるのは2次元の絵柄です。
自分でデザインと言っても、ゼロからすべての絵を描いて頂く訳ではありません。
いろんな方法があります。
例えば、お花の写真を参考にする。
写真集から引用する。
インターネットの画像で探す。
※もちろん、著作権などありますから、そのものは×です。
あくまで参考です。
何か、元になる媒体を流用して、私どもが原画をつくります。
それに対し、お客さまの方で、脚色したり、手入れをして頂きます。
この方法が簡単ですし、実際に最も多く用いられます。
ですが、中には自分でゼロから描きあげるという方もいます。
もともと絵心がある方が多いですね。
美大出身であったり、趣味で絵画をしている方など。
以前に美術の教員をしているという方もいました。
まあ、
【腕に覚えあり】
の方々ですね。
私たちも非常に参考になります。
ただ、石に刻む以上、制約がかかってきます。
例えば、花立であれば正面部分は局面になっています。
絵を刻める盤面としては100×180ミリほどとなります。
実際の石はもう少し(10~15ミリ)大きいのですが、端まで彫れません。
※彫れと言われれば彫れますが、強度、見栄えの問題でもあります。
その他にも、線の細さ、絵の細かさも、非常に制約がかかります。
線の細さは1ミリ以上必要となります。
時折、繊細な絵柄の場合は、こちらで修正を施させて頂きます。
という事で、つらつらと書き示してきましたが、実際は何を持ちこんで頂いても、こちらで修正して、彫れる絵柄にデフォルメ致しますのでご安心ください。
自らの手を下したお墓には
言い知れぬ愛着がわく
さて、彫刻の中でも、花を添えるのが、文字通り【お花の彫刻】。
通常は、花立部分に
『蓮の花』
を刻みます。
そもそも、なぜ蓮なのか?
それは、蓮が仏教的において、とても重宝される植物だからです。
蓮は泥水の中から生じ、清浄な美しい花を咲かせます。
その姿が、仏の智慧や慈悲の象徴とされ、いろんな意匠として用いられています。
如来像の台座は蓮華をかたどった蓮華座がほとんど。
また、死後、極楽浄土に往生し、同じ蓮花の上に生まれ変わって身を託すという思想もあり、
【一蓮托生】
という言葉の語源にもなています。
そんな仏教と密接な関係を持つ蓮なので、お墓にも重宝されます。
しかし、最近ではこの関係性に少し別種が交わっています。
お墓そのものから仏教性を減らした
【洋型】
や
【デザイン型】
と呼ばれるお墓。
もちろん、宗教心や信仰心がない訳ではありません。
カタチや想いとして、仏教的なものを越えた、愛情表現のひとつです。
刻むお花としては、例えば
【さくら】
【ゆり】
が蓮に次いで人気です。
絵柄も豊富です。
その他に
【ポインセチア】
【ガーベラ】
【ひまわり】
【カーネーション】
【菊】
【バラ】
【アジサイ】
【あさがお】
【サルビア】
などもありました。
要は、ご要望とあらば
『何でも出来ます』。
原稿につきましては、お施主さまが絵を描いて下さる場合もあります。
好きなお花の写真をお借りして、私どもの方でデザイン画をつくることもあります。
いろんな方法がありますので、具体的にはご相談下さい。
中には、花以外の絵柄を刻みたいとおっしゃられる方も居ます。
守りたいお墓をつくるからこそ
より強く想いを込めることにつながる
話しが少し逸れてしまいますが、毎年節目の時期になりますと、あちこちで話題に上がるトピックがあります。
それは、
【ダイエット】
そして、
【筋力トレーニング】
矢田石材店においても、節目の時期が近づきますと、
【痩せたい】
という者と、
【体大きくしたい】
という者と、2派に分かれます。
女性陣も職人たちもダイエットの必要性は無いと思うのですが、
「海に行った時、カッコよく見られたい」
「鍛え抜いた腕に続き、腹筋を見せびらかしたい」
そんなやましい気持ちから、体を大きくしたり、減量したりをもくろんでいるそうです。
凸凹があったほうが、人間らしくて良いと思うのですが。
お墓の彫刻に関しても、凸か凹かで皆さま悩まれます。
文字の彫刻に関しましては、基本は凹。
いわゆる【彫り込み】です。
文字の部分を彫って行き、そこを凹まして陰影をつけます。
【正面文字】
【建立者】
【戒名法名】
上記文字に関しては、99パーセント以上の確立で、この彫り込み彫刻を行います。
その逆は凸。
浮かし彫りです。
文字や絵柄の線を彫らず、周りを彫り込んでいくことで陰影をつけ、デザインを成り立たせます。
花立に刻む
【家名】
【花】
【家紋】
これらの彫刻は通常浮かし彫りでつくられます。
仕上がりの好みによって、違う場合も稀にありますが、ほぼこの通りに刻ませて頂きます。
お墓の凸凹は、出来上がりの見栄えと、どちらが文字やデザインを引き立たせるかで、
バランス良く刻まれているのです。
ただ、お花の彫刻だけは、最近では双方どちらかを割りと自由に選べます。
使用される石によって、見栄えも変わります。
できましたら、いろんな墓地でお墓を見学なされることをお薦めいたします。
矢田石材店の展示場にも、文字彫刻見本が豊富にありますので、ご興味ある方はご活用ください。
目立つお墓も控えるお墓も
どちらも主張、相違なし
さて、ここからはお墓にとって、最も大切な正面文字の彫刻です。
そして、彫った部分をどうするか?
石は元々持つ色合いと、磨かれた色合いは違います。
現代の墓石は、研磨され光り輝いています。
なので、文字などを刻んだ部分と、磨かれている石面とは、ほんの少し色の違いが出来ます。
影になり、陰影が付く部分もあります。
しかしながら、そのままでは、まったく文字が判読できない時もあります。
黒い石や、濃いグレーの石は、そのままでも文字が読めます。
しかし、白い石や、薄いグレーの石は、刻んだ文字を読もうとしても、
『??????』
となってしまいます。
そんなところには、着色です。
色はさまざま。
基本は白。
そして黒。
グレーもあります。
青を使う流派もあります。
という事で、基本は自由です。
ただ、周囲のお墓と比較して、あまりに目立つものは敬遠されます。
お墓は、周りとのバランスがとても大切な存在。
独りよがりは、要注意です。
そして、どんな石を使うのか、どんな文字を刻むのかで、お薦めも変わってきます。
様々なカラーのバリエーションがあります。
ご興味ある方は一度ご相談下さい。
ただ一点、文字に着色した塗料は、未来永劫その状態ではありません。
経年劣化で剥げてきます。
その際の対処法、なるべく剥げないお手入れ法は、時折行なう【お手入れ講習会】や、お引き渡し時にお伝えします。
お墓は野外にありますし、そもそも石と合成着色塗料は相性がよくありません。
その辺りもご理解の上、お墓づくりをお進め下さい。
お墓に使う色合いは、墓地を照らし
拝む方々の心を表す
様々な選択肢が増える中、
【文字の彫刻】
について、どちらも正しくもあり、正しくもない事があります。
例えば、正面文字。
【 南無阿弥陀仏 】
と
【 南無阿彌陀佛 】
と
【 南无阿彌陀佛 】
言わずもがなの浄土系宗派の名号です。
意味としては、
『私は阿弥陀さまという仏に対してすべて帰依します』
※いろんな解釈があると思いますが、宗教家ではありませんので、一般論です。
その中で、文字としての
【無】と【无】
【佛】と【仏】
【彌】と【弥】
「どちらが正しいの?」
とよく聞かれます。
答えとしては、
「どちらも正しい」
そもそも、
「南無阿弥陀仏」
は、文字に意味があるのではなく、インド言葉に対して漢字の当て字。
すこし乱暴な表現になってしまいますが、読んだ音が同じであれば、何でも正しいのです。
文字自体に意味はありません。
音に意味があるのです。
だから、刻まれる文字は何でも正しいのです。
そして、お名前に関しても同じ事が言えます。
旧字体と新字体。
これに関しても、どちらも正しい。
昔使われていた文字と、今使われている文字。
昔書かれたお名前ならば、旧字体でしょうが、今書くならば新字体。
どちらも正しいはずです。
そして、使うご本人が分かっていると思うのですが、
「実は私の名前は、本当は○○でして・・・・」
という話を、時折頂きます。
通常使う文字と、戸籍にある文字が違う時。
で、
「どちらが正しいのか?」
と聞かれれば、相変わらず
「どちらも正しい」
としか、答えようがありません。
では、選ぶ指針は無いのか?
と言われれば、あります。
それは、
【どちらの文字がしっくりきて、どちらの文字を愛せるか】
だと思います。
結局、お墓というものは、愛の塊です。
であるならば、愛せる文字で刻めばいいじゃないんでしょうか?
ご本人の感覚で、
・落ち着く
・馴染む
・しっくりくる
・ふさわしい
・見慣れた感じ
・腑に落ちる
・納得できる
・見あきない
・覚悟が決まる
何でも構いません。
とにかく、自分で決めることが大切です。
なぜならば、誰よりも多く、出来上がったお墓に手を合わせるのはご自身とそのご家族ですから。
お墓の決め事は誰が何と言おうが
自分で決める
ここまでお伝えしておいて、矛盾するかもしれませんが、自我を滅し、合わせなければいけない事も多々あります。
お墓づくりにおける、
【そこは合わせといてよ!】
的な事の一つ。
それは、戒名(法名)などの彫刻。
中でも、
【享年】
なのか
【行年】
もしくは
【 】(空白)
なのか。
お亡くなりになられた年齢を刻む時、様々な表記方法があります。
例えば、96歳でお亡くなりになった場合、
・享年96
・行年96歳
・行年96才
※享年を【○○年生きました】
行年を【○○歳まで生きました】
とした場合の表現です。
さらに享年や行年など無しに、
・96歳
・96才
とする場合があります。
そして、
・没年96
というケースも。
さらに、数え年なのか、満年齢なのか、悩みます。
満年齢が【96歳】でも、生年月日により、数えであれば
【97歳】
も
【98歳】
も考えられます。
そうすると、先ほどあげた表記方法に3をかけて、
【18通り】
の表記方法が考えられます。
いったい何が正しく、どのような表記にすれば良いか?
お施主さまからも、本当によく聞かれます。
でも、答えは簡単。
迷ったら、
【お位牌】
と、合わせれば良いのです。
お位牌の表記と同じように刻む事をお勧めしています。
正しいか、間違っているかは問題ではありません。
その方が、後々お墓を守って行く人が混乱しないから。
例えば、
お墓は
【享年96】
お位牌が
【享年96歳】
だとしたら、何も知らない人たちはどう思うか?
「ご先祖さま、一体どっちなんだよ????」
そして、満年齢と数え年をごっちゃにしてしまったら・・・・。
「ご先祖さま、一体どっちなんだよ?????」
せめて、お位牌と同じ表記にしておけば、整合性は保たれます。
お墓づくりは自分達だけではなく、その先、居なくなった世界をも考えて行くものです。
その事が、
・家族への愛、
・一族・血縁者への愛、
・そして地域への愛、
・最終的には人類愛へとつながります。
家族を愛する人はお墓を愛し
人類みなを愛する事が出来る
ここまで長々と続けてまいりました、
【墓石の彫刻】
についてのお話し。
いかがだったでしょうか?
色々と細かな技術のことから、考え方までお伝えさせて頂きました。
少し振り返りましょう。
・自分で絵柄をデザインして刻めます
・簡単に花のデザインをつくるコツ
・彫刻するお花は蓮が基本。
・でも、どんな花でも刻む事が出来る。
・もちろん花以外もOK
・浮かし彫りと彫り込みの2通りの彫り方がある。
・彫った石に着色する際のコツ
・旧字体と新字体について
・享年、行年などの表記に迷ったら位牌に合わせる
こんな感じでしょうか?
墓石の彫刻に関して、今回お伝えした情報はその一部です。
実はその他にも
・立体彫刻
・影彫り
・象嵌(ぞうがん)
・レリーフ彫
などがあり、それぞれのトピックで今回お伝えした文量でも、足らないほど。
それほど、多様性に富んでいます。
これは、お墓の存在がそもそも
【自由】
である事が発端。
かつてお墓は
【自由の象徴】
で、各個人の趣味嗜好を色濃く反映してつくられていました。
しかし、機械化が起こり、他の産業と同じように同質化が起こりました。
しかし最近の、
【 個 】
を主張しても良い風潮により、再び自由が拡散し、バラエティーに富んだお墓になった。
弊社にお越しいただけましたら、いろんなお墓の自由に対応するため、新しい技術やアイデアの多さに驚かれると思います。
お墓づくりの際はぜひぜひお越しいただいて、楽しみながらお進め下さい。
すべてのお墓に優劣なし
今日もお墓づくりに精進します。
感謝
過去のブログはこちら
→ http://ohakaman.yatasekizai.com/
お墓づくりを行う前に、ぜひ御一読を。
『心が強くなるお墓参りのチカラ』
心が強くなるお墓参りのチカラ
詳しい本の御案内はこちらから
→ http://haka.yatasekizai.com/media/chikara.html
インターネットの本屋さん「アマゾン」でも販売しています。
⇒『心が強くなるお墓参りのチカラ』
お墓職人がつくる注文墓石専門店 矢田石材店
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岡崎本店 愛知県岡崎市大平町字南田潰28‐1
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名古屋店 愛知県名古屋市名東区平和が丘2-213
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ファックス 052―768-6647
営業時間 月~土曜日:8:00~18:00/日曜・祝日:9:00~17:00
※名古屋店は水・木曜は定休日です。
私たちの行動指針=
「自慢したくなるような【誇りあるお墓】をお施主さまと一緒につくる」
お墓づくり情報満載のホームページ→ http://haka.yatasekizai.com
e-mail: info@yatasekizai.com
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