お客様インタビュー マッカンさま
「お墓の移動はできるのかしら?」 そんなゼロからのスタートでした。
―まず、今回のお墓の改葬についてお聞かせください。
祐子さま:
はい。もともと私は主人と結婚してイギリスで暮らしていました。子供も生まれましたので、そのまま永住するつもりで、日本に戻る意識はほとんどありませんでした。
ところがある日、叔父から連絡をもらいました。叔父には、若くして亡くなった父のお墓を30年間ほど守り続けてもらっていました。
ところがここ最近、ご自身が高齢になったこともあり、このままお墓を守り続けられないという話でした。
私たちの方で、お墓をなんとかしてほしいと伝えられたのです。
―御親戚の方が、今までお父さまのお墓を守ってくださっていたのですね。お話をいただいた後、すぐに御遺骨をイギリスまで移動させようとなったのですか。
祐子さま:
いえ、父の遺骨を永代供養することも考えました。
でも、市営墓地という事もあり、今さら日本の寺院に連絡を取ることに、何だか違和感を感じました。
こちらから連絡して処分だけしてもらうのも忍びなくて・・・・いろいろ悩んでいるうちに、ある時、これを機会に今住んでいるイギリスの家族のもとに連れて帰りたいという気持ちが湧いてきたのです。
そのほうがきっと父も喜ぶだろうと思いまして。
そこで、主人に父をイギリスまで連れてきたい旨を相談しました。
大変なことにもかかわらず、快諾してくれて。ところが、それからが大変です。一体何をどうすればいいのか、どこに頼めばいいのか、全く分からない状態で始めなければいけませんでした。
―なるほど、そのような、いきさつがあった訳ですね。まず最初に何からお始めになられましたか?
祐子さま:
はじめに、見積を数社でお願いしました。
ところが墓石の撤去に一週間もかかると言われたり、驚くような金額を提示されたりしました。
それから、全体的に受けた印象ですが、海外からの依頼という事もあってか、あまり親身に相談にのっていただけませんでした。
私自身、日本を離れ、海外での生活が長いものですから、全くわからないことばかりで壁に突き当たってしまいました。
そんな中、インターネットで矢田石材店をたまたま見つけました。父のお墓がある岡崎の石材店という事もあって、最後の頼みで連絡してみました。
―そのような経緯の後、弊社にご連絡いただいたわけなのですね。実は、弊社にとっても、国境を越えての御遺骨の移動は初めてのことでした。
祐子さま:
こちらの分からないことに対し、ひとつひとつ丁寧に教えてもらえたので助かりました。私の方で行う書類の申請に関しても、細かく教えてくださったので、難なく書類をそろえることが出来ました。
墓石の移転・御遺骨の移転には関係各所への申請が必要となってきます。まず、今墓石の立っている墓地の管理者から改葬許可証を発行してもらいます。(公共墓地の場合は市役所・保健所、寺院墓地の場合は住職、地域墓地・集合墓地の場合は墓地委員長さんなどになります。)
そして、引っ越し後の受け入れ墓地の使用許可が頂けたら、実際の移転・引っ越しになります。
※今回のマッカンさまのようなケースでは、国を跨ぐことになりますので、通関手続きなども必要になります。
書類の手配をしてくれたり、書き方の見本を用意してくれたり、
細かい気遣いで手続きもスムーズに進みました。
―具体的に書類の集め方や申請の進め方についてお聞かせください。
祐子さま:
基本的には矢田石材店から「△△に行って○○を用意してください」と言われた書類をそろえました。
日本でしか手に入らない書類などは矢田石材店で集めて頂いて、それをもとに記入しました。
―書類の記入は大変でしたか
祐子さま:
見本を用意して頂きましたので、比較的簡単に記入することが出来ました。
関係ない話かもしれませんが、日本で集めてもらった書類のコピーをEメールで送ってもらい、はじめて父の戒名や宗派が分かりました。
当時の火葬場所や日時を知ったこともあって、なんだか感慨深い気持ちになりました。
唐突に始まった墓石の片付けでしたが、33年振りの父との対面がとても待ち遠しくなってきました。
岡崎の保健所や霊園管理事務所では「国外に改葬した前例がない」とのことでした。
手続きについては、日本・イギリス両国の大使館とも綿密にやり取りを行いました。
墓石・御遺骨の移転や撤去に関しては、手続きが煩雑な場合もありますが、根気よく順序立てて行えば、無理なことではありません。
あきらめたり、放っておく前に御相談下さい。
―来日される日程も決まり、いよいよという直前に日本は東日本大震災に見舞われました。その時はどのようにお考えになりましたか。
祐子さま:
イギリスのニュースでも毎日大きく報道されており、現地の写真を見るたびに胸が痛みました。特に関東にいるたくさんの友人のことが心配で…。
―当時日本国内においても正確な情報を得ることが難しく、マッカン家の小さなお子さま達も一緒にお越しになると聞いていましたので、こちらから来日予定の延期を提案させて頂きました。
祐子さま:
イギリス政府からも「日本に入国することは極力控えて下さい」と言われ、悩んだ結果、翌月に延期することしました。
日本での滞在先である横浜の知人宅もまだ落ち着いていないうえ、そんな時期に家族6人で滞在したら迷惑をかけることになります…。
日本の状況をニュースで見ながら、手の届かないところに居るもどかしさは計りようがありませんでしたが、私もイギリスで何度も声をかけられて「日本人は本当に強くて素晴らしい」と言われました。
これからの日本の復興を世界中が期待しています。
33年ぶりの父との対面は、何よりの供養になったと思います。
―地震から1カ月以上経ち、まだまだ交通網にも影響も残っている中、ご家族皆さんでお越しいただいたわけですが、家族内での話合いなどはどのような感じでしたか。
祐子さま:
子供たちにも良い経験になりますので、是非主人と一緒に連れて行きたかったんです。 イギリスはカトリックの国なので、現在も遺体の埋葬は土葬です。ですから、【火葬されたお骨】を家族一緒に取り上げるのは、子供たちにとって大変貴重な体験になると思いました。
主人も子供達もとても協力的で、今回の来日を皆で楽しみにしていました。
―実際に御遺骨を取り上げてどう感じられましたか
祐子さま:
若くして亡くなった父と33年振りの対面で、私もすでに父が亡くなった年齢を追い越してしまいました。
実は、父は私が生まれたあと、洗礼を受けてクリスチャンになったと聞かされていました。
ただ、当時は祖父母の信心もあり、仏式で埋葬されました。
でも、もしかしたら本人はこのような形で埋葬されるのを望んでいなかったのでは?と思いながらお骨を上げさせて頂きました。
一緒にイギリスに連れて帰って、将来私たちのお墓に一緒に入ることになったら、父も喜んでくれるのかな、なんて思いながら遺骨を拾い上げました。
―最後の質問になります。全てを終えられて、残すは御遺骨とともにイギリスにお帰りになるだけですが、お墓の解体撤去、御遺骨上げを行っていただき、今の気持ちはいかがですか。
祐子さま:
父を放っていたわけではないのですが、自分達と一緒にイギリスまで連れていってあげることが出来、心のつかえがとれた気がします。
元々、今回の改葬自体が出来るかどうかからのスタートでしたから。父の遺骨の入れ物まで用意して頂いて、矢田石材店は本当に細かいところまで気をつかって下さる石屋さんと思いました。
骨壷を入れるために用意してくださった桐の箱と京風の風呂敷が日本らしくて素敵です。
今回は色々とお世話になりましてありがとうございました。
―こちらこそ、お忙しいなかお話をいただきありがとうございました。 イギリスまでの長い道中、くれぐれもお気をつけてお帰りください。
弊社では、過去にも初めて伺う土地での御遺骨の移転、お墓の移転・撤去をおこなってきた経験がありました。
マッカンさまから御相談を受けたあと、関係各所に連絡し、手順等の説明を受けました。
その結果、書類等の準備が少々手間なだけで、さほど大きな問題はないと判断させていただきました。